東京製鐵株式会社の創業以来、90有余年が経過いたしましたが、この間、私は鉄を造ることによって世の中のお役に立つことに専念致してまいりました。これまでの私は、鉄とのかかわり合いの中で生き、鉄という素材を通して、材料の研究が如何に大切であるかを、身をもって実感してまいりました。
科学技術の進歩のために、新しい材料の研究開発は欠かせないものであり、些かなりともそのお役に立つことを、と念願して、東京製鐵の創業者である故・池谷太郎が池谷科学技術振興財団の設立を発起いたしましたところ、幸いにして、皆様がたのご賛同を得、ご指導ご協力をいただきまして、今日に至るまで、多くの研究者の方々に助成を続けることができました。
本財団の設立趣意にもありますように、我が国産業は急速な進歩を遂げ、経済大国として発展してまいりましたが、今や世界有数の科学技術立国となった我が国には、以前にも増して、国際社会と人類の利益のために、応分の貢献をなすことが求められています。
一方では、国際的な競争激化、エネルギーや各種資源の制約等、我が国をめぐる環境には、きわめて厳しいものがあります。
これらに対応するためにも、科学技術のより高度な研究・開発が、強く求められております。そこで、その基礎ともいうべき先端材料に関わる研究の助成及び振興を図り、科学技術の発展に貢献し、社会経済の発展に寄与せんとするのが当財団の目的であり、使命とするところであります。
この使命を果たすためには、皆様がたの暖かいご支援とお力添えがあってこそ、初めて為し得るものと考えております。
今後とも、変わらぬご支援を賜りますとともに、当財団の助成事業を充分にご活用いただきますことを、重ねてお願い申し上げる次第でございます。